おかん同盟

自慢なのだが、うちのおかん(母親)は面白い。話自体は何が言いたいんだかよく分からないのだが、動作に関しては一流の笑いをとってくれる。つまり体で笑いをとるタイプの芸人なのだ。しかし、面白いのは私のおかんだけではない。街中を歩く「誰かのおかん」はいつもみんな楽しませてくれる。おかんにとっては「人類みな知り合い」であり、全く面識がなくても「ほら、あんたもコレ見ときっ。珍しい事やってるわ。」などと「あんた呼ばわり」で誘ってくれるのだ。ありがたい事である。
そんな面白くて人懐っこい「おかん」を目指そうと思った。
誉められればキャッキャッと喜び、「いややわ〜、あんた」の言葉と共に相手をどつく。自分のミスはホイホイ棚に上げ、「聞いてない、言ってない」の演技力は抜群だ。「おかん」は常に合理的であり、時に情が深い生き物なのだ。

「おかん軍団」の世界には供給型と需要型が存在する。
おかんと車で出歩いていた時、「おかん軍団」に遭遇した。特に用事はないのでそのまま素通りしようとしたその時、1人の「おかん」が寄りついて来た。
「あら、車?近くまで乗っけてってくれへんかなあ〜?」
いきなりの事ではあるが、ついでなので良しとしよう。私達が快く引き受けると、1人の「おかん」は遠くへ向かって叫んだ。「送ってってくれるねんて〜っ!!!はよ、おいで〜っ!!!」見ると、ドタドタと3人くらいの「おかん」がこっちへ向かって歩いてくる。車内は「おかん臭」と「おかん言葉」でいっぱいだ。時折、自分をずぅずぅしい人だと思われたくないからか、取って付けたように「いつも(いつもだったのかっ!!)ごめんねぇ〜。」などと言う。強いっ!強すぎるっ!!でも「おかん」なので仕方ない。うちのおかんがたまたま供給型だったのが悪いのだ。

おかんには「おかん権」が存在する。
人間らしく生きる権利を人権という。「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」・・・憲法の14条だ。法の下に平等であるのは構わないが、「おかん」だから許される行為というものは、みんなに認められている。
「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」・・・世界人権宣言第1条だ。つまり、気を遣いあって、尊重しあって生きろよ、という事だ。間違いなく「おかん」はこれに当てはまらない。「おかん」は勝手に「おかんの権利」を存在させてしまっているのだ。

「おかん」は凄い。「おかん権」を手に入れ、「おかん」の待遇を受ける為にも、「おかん同盟」は入るべきである。

※どうでもいいが、漢字テストの時「おかんがはしる」という問題が出た。もちろん答えは「悪寒が走る」なのだが、自分のおかんが走っている姿を想像した人はかなりいるだろう。私もその1人だ。

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(Feb.03.2002)